朝の食事といえば、パン。または納豆×白ご飯の和定食……と、言いたいところだが、そうではなく「ラーメン」と答える場所がある。

それが静岡県藤枝の「朝ラーメン」、通称“朝ラー”だ。

藤枝朝ラー文化軒究会さんにお話を伺ってみると、「この習慣が始まったのは戦前からと言われています」という。
最近始まったように思われるが、この文化が根付いたのは意外と古い。

藤枝は昔からお茶の生産地であり、お茶取引などで朝早くから仕事を始める人が多かった。
そんな人が帰宅するのは朝の6時ごろ。
仕事を終えて朝に戻る人を相手に、ラーメン屋さんが営業時間をどんどん早めていったのが始まりだという。


今でも藤枝では朝から営業するラーメン店が多く、市内では18店舗が営業中。時間は午前7時頃からが多く、中にはもっと早くから営業するお店もあるとか。
朝が早いだけに、営業時間は昼まで、というお店も多い。
ラーメンといえば明け方までオープンというイメージだが、朝ラーは朝がメイン。おいしいラーメンを食べるためには、早起きも必要なのだ。

朝からラーメンなんて……といっている人も、食べてみると「あっさりして暖まる」など高評価。

中でも“つるりとしたのどごしの麺と、あっさりとしたスープ”が持ち味の、ご当地ラーメン志太系ラーメンは7店舗。
このほかにもトンコツや味噌、塩味などさまざまな味のラーメンが揃う。
暖かいものと冷たいもの2種類の味を食べ比べるなど、朝ラーならではの楽しみ方もあるとか。

さらにこんな朝ラーを押し出すため、イベント時には朝ラーの看板を背負ったコンセプトカーも登場する。
のれんやのぼり、Tシャツなどの販促グッズも販売。見ただけで朝ラーと分かるモチーフも押し出し中だ。

実際、この朝ラーを全国に発信したところ、遠方から食べに来る人が増え、およそ10億円もの経済効果があったという。

藤枝朝ラー文化軒究会さんでは、“FDA-Rプロジェクト”藤枝大好き! 朝ラーメンプロジェクトと題し、ラーメンを通じて藤枝の認知度を高める活動や情報発信も予定しているという。

愛知や岐阜はご存じ、ボリューム満点モーニングで有名だ。
それに負けず劣らずおもしろい、ラーメンモーニングを持つ藤枝。東海地方のモーニング文化は侮れない。

そんな朝ラー、ゴールデンウイークには藤枝で行われる藤まつりに出店予定。

さらに6月末には、いつでもどこでも食べられるように朝ラーのカップラーメンも販売するとか。

もしかすると、全国に朝ラー文化が広がる……かもしれません。
(のなかなおみ)